労災事故に遭った場合の注意点
最初に労災事故に遭った場合の注意点についてご説明致します。
誤った判断をされている方が非常に多いことから、まず最初にお読み下さい。
労災事故に遭った場合、労災保険が適用されることは皆様もご存知だと思います。
しかしながら、労災事故に遭った方が受け取ることが出来るお金は、労災保険からの給付が全てではありません。
労災保険から支給されるのは、治療費と休業損害の一部(6割+特別支給金2割)のみで、慰謝料等は含まれていません。
なお、後遺障害が認定された場合には、障害補償一時金等が支給されますが、これも後遺障害に関する賠償金の全てを補償するものではありません。
したがって、労災事故に遭われた場合、労災保険から支給されたもの以外に慰謝料等を会社や会社が加入する保険会社等に請求する必要があります。
ところが、労災保険からの給付が全てであると誤解され、会社に対する請求を行わない方が非常に多い印象です。
また、会社の担当者も、労災事故の補償は、労災保険から全てなされると誤解していることが多く、労災保険の手続を行ったので、会社としてはやるべきことは全てしたといった対応をすることが少なくありません。
なお、労災事故がご自身の不注意によって発生した場合においても会社が全く責任を負わないことの方が少ないことから、労災事故に遭った場合には、必ず専門家に相談することをお勧めします。
労災事故で脊椎(せき柱)を損傷した場合どうしたら良い?
高所から転落するなどの労災事故で、脊椎(せき柱)を損傷した場合、後遺障害が残存する可能性が非常に高いと思います。
そこで、脊椎(せき柱)を損傷した場合にどのように対処すべきかを説明致します。
労災保険の適用を受ける
まずは、会社にお願いするなどして、労災保険の適用を受ける必要があります。
会社が協力的ではない場合でも労災保険を適用を受けることは可能ですので、会社が協力してくれないからといって諦めることはありません。
治療を継続する
労災保険の適用がなされれば、労災保険から、治療費と休業補償が支払われますので、当面の間は、労災保険を利用して、治療を継続することになると思います。
しかしながら、労災保険からの治療費や休業補償の支払いは完治するまで支払われる訳ではありません。
完治していない場合でも、症状固定と判断された場合には(それ以上治療を継続しても治療効果が上がらないと判断された場合には)治療費や休業補償の支払いが打ち切られるのです。
特に、脊椎(せき柱)を損傷した場合、残念ながら完治しない場合も少なくないことから、いずれかの段階で、治療費や休業補償の支払いが打ち切られると考えておいた方が無難だと思います。
では、その場合、どうすれば良いのでしょうか?
後遺障害の申請を行う
症状固定の時点で、何らなの症状が残存している場合、後遺障害の申請を行う必要があります。
そのうえで、労働基準監督署が、残存する症状が後遺障害に該当すると判断した場合には、後遺障害の等級に応じて、障害補償一時金等が支払われます。
なお、後遺障害の等級については、後述致します。
まとめ
脊椎(せき柱)を損傷した場合、一定期間治療を継続した後、後遺障害の申請を行うことなることが大半です。
そのため、後々、後遺障害の申請を行う必要があることを前提に治療・検査を受ける必要があります。
後遺障害の申請には医師の協力が必要になることも少なくありませんので、協力的な医師のもとで治療を行うことが大切です。
脊椎(せき柱)を損傷した場合の後遺症・後遺障害
脊椎(せき柱)を損傷した場合の後遺障害等級
①せき柱の変形障害
6級の4 :せき柱に著しい変形を残すもの
8級準用 :せき柱に中程度の変形を残すもの
11級の5 :せき柱に変形を残すもの
②せき柱の運動障害
6級の4 :せき柱に著しい運動障害を残すもの
8級の2 :せき柱に運動障害を残すもの著しい変形を残すもの
③その他の体幹骨
12級の5 :鎖骨,胸骨,ろく骨,肩こう骨又は骨舵骨に著しい変形を残すもの
①せき柱の変形障害の解説
細かな内容が含まれておりますので、参考程度に読んでいただければと思いますが、ポイントは、レントゲン等で圧迫骨折が確認出来ることを大前提に、その程度によって等級が決定されるという点です。
せき柱に著しい変形を残すもの
エックス線写真、CT画像又はMRI画像(エックス線写真等)により、せき椎圧迫骨折等を確認することができる場合であって、次のいずれかに該当するもの。
・せき椎圧迫骨折等により2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後轡が生じているもの。
※前方椎体高が著しく減少したとは、減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高のl個当たりの高さ以上であるものをいう。
・せき枇圧迫骨折等によりl個以上の椎体の前方椎体高が減少し後管が生ずるとともに.コブ法による側管度が50度以上となっているもの。
※前方椎体高が減少したとは、減少したすべての椎体の後方枇体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高のl個当たりの高さの50%以上であるものをいう。
せき柱に中程度の変形を残すもの
エックス線写真等によりせき椎圧迫骨折等を確認することができる場合であって、次のいずれかに該当するものをいう。
・せき椎圧迫骨折等によりl個以上の椎体の前方椎体高が減少し後彎が生じているもの
・コブ法による側彎度が50度以上であるもの
・環椎又は軸椎の変形・固定(環椎と軸維との固定術が行われた場合を含む。)により、ア 60度以上の回旋位となっているもの、イ 50度以上の屈曲位又は60度以上の伸展位となっているもの、ウ 側屈位となっておりエックス線写真等により、矯正位の頭蓋底部の両端を結んだ線と軸椎下面との平行線が交わる角度が30度以上の斜位となっていることが確認できるもののいずれかに該当するもの。
せき柱に変形を残すもの
・せき椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの
・せき椎固定術が行われたもの(移植した骨がいずれかのせき椎に吸収されたものを除く。)
・3個以上のせき椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの
②せき柱の運動障害の解説
せき柱に著しい運動障害を残すもの
次のいずれかにより頸部及び胸腰部が強直したものをいう。
・頚椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎圧迫骨折等が存しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの
・頚椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎固定術が行われたもの
・項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
せき柱に運動障害を残すもの
・次のいずれかにより、頚部又は胸腰部の可動域が参考可動域角度の1/2以下に制限されたもの
ア 頚椎又は胸腰椎にせき椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの
イ 頚椎又は胸腰椎にせき椎固定術が行われたもの
ウ 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
・頭蓋・上位頸椎間に著しい異常可動性が生じたもの
③その他の体幹骨の解説
鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい変形障害を残すものとは、裸体となったとき、変形(欠損を含む)が明らかにわかる程度のものをいう。
※変形がエックス線写真によって、はじめて発見し得る程度のものは該当しない。
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