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- 労災と損害賠償の違い|会社・加害者に請求できるか?
労災と損害賠償の違い
労災で受けられる補償
労災による補償を受けるためには、労働基準監督署へ申請書を提出する必要があります。労災が認められれば、申請内容によって、国の労災保険から次のような給付金が支払われます。
療養補償給付
医療機関における診察・処置・手術などの治療費、薬剤や医療装具にかかった費用、入院・看護などの療養費が給付されます。
休業補償給付
入院・看護などの療養を要した場合、休業から4日目以降、労働基準法の平均賃金額とされる給付基礎日額の80%が給付されます。
障害補償給付
後遺障害が残ってしまったときは、一時金や一定額の年金が給付されます。
遺族補償給付
労働者が労災によって死亡してしまったときは、遺族補償年金が遺族に対して給付されます。
損害賠償請求ができる内容
労災と認められた場合に受けられる補償のなかには、慰謝料は含まれていません。また、保証される休業補償や介護補償に上限があるなど、補償内容が十分でない場合もあります。
そのため、不足分については、会社や加害者に対して民事上の損害賠償請求が可能です。損害賠償請求ができる項目はさまざまですが、労災保険からの給付と重複する費用については控除されます。
例えば、次のような項目を請求することが可能です。
休業損害
休業損害は、労災によって仕事を休まざるを得ず、減ってしまった収入のことです。金額は、職業・収入・休業期間などによって異なります。有給休暇を使って治療をした場合でも請求可能です。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、労災によって後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。
逸失利益
労災によって後遺障害が残ったことで、仕事ができなくなったりしづらくなったりした場合に、本来得るはずであった将来の収入を、逸失利益という項目で損害賠償請求ができます。
治療関係費
労災保険で補償されなかった分の実費も請求できます。医師の指示があればより認められやすいため、診断書や領収書を準備しましょう。
入院雑費
労災によって入院した場合、治療費以外にも入院中の衣類や日用品などが必要になります。それらの雑費も請求することができます。
入院中の雑費については、個別に相当性を判断するのは困難であるため、まとめて日額1500円で計算するのが一般的です。
交通費
自身の通院や付添人のために必要な交通費も請求可能です。場合によってはタクシー代を請求することもできます。
労災と損害賠償について注意すべきこと
労災が認められたからといって、必ずしも会社が責任を負うとは限りません。
業務中に発生した事故だとしても、会社の監督責任ではなく自身の不注意が原因であったケースもあります。そのような場合、労災保険が適用されたとしても、会社には損害賠償を請求できません。
また、労働者側は会社の責任だと考えていても、それを立証できなければ会社からの損害賠償を受けることはできません。
会社に損害賠償が請求できるかどうか不安な方は、まずは弁護士にご相談ください。
